2018年11月3日土曜日

[体験談]女性カップルの娘、無遠慮な質問にユーモアで立ち向かう

文字画像「体験談」
同性愛者の親を持つ子供(成人含む)は少なくありません。アメリカなどでは彼らをサポートする団体もありますし、自分の体験を語る人もたくさんいます。当然ながら家庭環境は千差万別、子供の思いもさまざまですが、よく聞くのは、周囲の無理解に苛立ったという体験です。

テキサス州オースティンの高校2年生のジュリアさんは、学校で投げかけられる素朴な、かつプライベート過ぎる質問にユーモアで応戦しています。
LGBTQの人々の体験談を集めているサイト「I'm From Driftwood」から紹介します。今年の7月に投稿されて間もないですが、同サイト約10年分の動画のなかでも、YouTubeでの再生回数が最も多い1本です。


ジュリアさんが10歳の時、母親がゲイ(同性愛者)だということ、そして両親が離婚することを告げられました。
最初はすごくきつくて、「イヤーーッ!」って感じだった。でもそれは乗り越えた。そんなに時間はかからなかった。

ジュリアさんが学校の友達に話すと、返ってきたのは「ゲイって何なの?どういう意味?」といった質問攻めでした。当時はそうした質問に答えられるような準備がまだできてなかったため、ジュリアさんにとってひどく居心地の悪い状況になってしまったようです。

その後、公立校に転校することになり、新しい環境になじむまでは親のことも内緒にしていました。次第に周知されていきましたが、その段階では特に問題にならなかったようです。しかし、母親が女性と再婚したことで潮目が変わります。
その時に新たな質問の波みたいなのが押し寄せてきた。
「ちょっと待って、じゃあ、あなたには継母がいて、パパがいて、ママがいるってこと? 再婚したのはパパ? あれ、混乱してきた」

親しい友人たちはジュリアさん一家のことを理解していたものの、問題は顔見知り程度の人たちでした。母親の再婚から数年経った今でも、彼らはよく分かっていないといいます。
ある日、友達と昼食をとっていると、ある男子がやって来て話しかけられました。
その子は唐突に「おまえ、ゲイなのか?」って。私が「違う」って言うと、
「でもおまえのママはゲイだろ」
「まあ、2人ともそうだけど」
「じゃあ、なんでおまえはゲイじゃないんだ?」
それで私は、
「えっとね、ママは単に子供を産んだの。ゲイを産んだわけじゃなくて。で、実際はストレートだったってこと」
そしたらみんなすごく混乱して、
「え、髪の色とか[遺伝性のもの]とは違うの?」
でも、みんな最終的には、「そうか、この子には継母とママとパパがいて、みんなで家族で、よく分からないけど、この家はこれで上手くいってるんだ」って納得してくれるようになってきた。

(収録時から)16カ月前、継母が出産し、ジュリアさんに妹ができました。これもまた学校の子たちには理解しがたい出来事だったようです。というのも、ジュリアさんいわく、彼らにとって子供を持つ方法は「男女が一緒に性器を連打する」か、養子かのどちらかしかないからです。ここで新たな質問の波が押し寄せました。
ある日、学校の廊下で、インスタグラムだけで繋がってるような女子から話しかけられました。
「妹が生まれたんでしょ」
「そうだよ」
「インスタで写真見た」
「どうも」
「でも、ママが2人いるんじゃなかった?」
「そうだよ」
すると彼女は(手のひら同士を打ち合わせる仕草をして)
「どうやって子供ができたの?」
それを聞いて私は「うわぁ……」って感じだった。“あなたの母親たちの性生活”について露骨に聞かれたのは、それが初めてだった。
その時は会話を打ち切って立ち去ったようですが、今ではそうした質問にユーモアで対抗するようになりました。そうでもしないと常に腹を立てていなければならなくなるからです。
もし誰かに「おまえの妹はどこから来たんだ?」って聞かれたら、
「ターゲット[大手量販店]だよ。棚で見つけたの。シリアルのそばにあった」
ほかには、
「ちょっと待って、いったいどうすれば赤ちゃんが生まれるの? わけわかんない」
「じゃあ、ターキーベイスター[*]を想像してみて」
そう言うとみんなすごく気まずくなるの。それから、
「あなたにはママが2人いるんだよね? どうやったら子供ができるわけ?」
「じゃ、あなたのご両親は、あなたを妊娠した時どんな体位だったの?」
するとみんな目を見開いて、顔を真っ青にして、何も言わずに立ち去るの。私は「じゃーねー」って感じ。
私はまだユーモアを見いだせるところまで来たばかり。これが、なんというか、私の対処法なの。
* ターキーベイスター(turkey baster)…七面鳥を焼くときに、溢れた肉汁を肉にかけ直すための大きなスポイト。また、俗語で人工授精を意味する。
質問がある人に対しては、興味を持つのは悪いことじゃないと思う。私たちはみんな知らないことに興味を持つものだから。でも、まずは質問に答えてもらえるか相手に聞いてみてって言いたい。「ねえ、あなたの家族のこと聞いていい?」って。なんだかぎこちない感じだけど、相手にとってはありがたいはず。

ジュリアさんは、こんなにもたくさんプライベートな質問をされるとは思ってもみませんでした。こうした経験から、同じような立場にいる子には、あらかじめ答えを用意しておくなど心構えをして、自分が心地良くいられる方法を見つけてほしいとアドバイスしています。
また、家族のことで劣等感のようなものを感じる必要はないとも語っています。
家族構成や家庭の変化のせいで、自分の家族が家族として不十分だなんて思わないで。それでも家族なんだし、[他の家族と]同じように機能してる。朝起きて、朝ごはんを食べ、お互い怒鳴り合い、学校へ行き、夜ごはんを食べ、寝る。その繰り返し。基本は同じ。ただ、おっぱいの数がすっごく多いってだけ。
Straight Daughter Of Lesbian Moms Responds To Uncomfortable Questions With Humor.| I'm From Driftwood (2018)テキスト版


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