2018年4月28日土曜日

[体験談]パパがゲイだと知った9歳の私へ

文字画像「体験談」
同性愛者の親を持つ子供(成人含む)は少なくありません。アメリカなどでは彼らをサポートする団体もありますし、自分の体験を語る文章も探せばたくさん見つかります。当然ながら家庭環境は千差万別、子供の思いもさまざまです。

アメリカの「The Rainbow Letters」というサイトでは、LGBTQの親を持つ子供たちが自分の思いを手紙形式で綴っています。
今回取り上げるのは、28歳の投稿者が9歳の自分に宛てた手紙です。匿名で性別も不明です。
How Do You Tell People? | The Rainbow Letters
親愛なる9歳の私へ

あなたはパパがゲイだと知ったばかり。今ちょっと混乱して呆然とした気持ちだよね。両親が離婚したばかりだというのに、またも爆弾投下。自分の人生に何らかの影響が出る知らせのようだけど、たった9歳ではそれがどんな影響なのか把握するのは難しい。大事なことだから覚えていてほしいんだけど、混乱しても、腹が立っても、悲しくても、思い悩んでも、それはパパを愛していないという意味じゃない。彼は今もあなたのパパなんだし、それはずっと変わらない。あなたはただ、この新しい現実に慣れるのにちょっと時間が必要になるだけ。

友人たちのなかで自分の親だけが離婚していて、しかも父親がゲイ。人から親の離婚理由を聞かれたらどう答えればいいのか? 誰にも話せず、自分だけが他の子とは大きく違ってしまったような孤立感を抱いていたようです。しかし投稿者は、いずれ信頼できる人を見つけて話せるようになっていくし、本当の友達は誰も変だとは思わないから心配しなくていい、と励まします。

もうひとつ投稿者を悩ませたのは、学校で耳にする同性愛ネタです。無邪気で残酷な年頃の小学3年生にとって、ゲイというのは“よく知らないけど笑える話題”でした。
遊び場でゲイについてのジョークが聞こえてきたらどうする? ゲイという言葉が侮辱のような意味でまき散らされたら? こうした状況では葛藤を感じるかもしれない。何か言ってやる? ゲイであることはその人の一部であって恥じるようなことじゃないと周りの子を教育する? それとも気づかれないよう黙ってやり過ごす? もしかしたら、パパや他のゲイの人たちを守るために声を上げるなんて嫌だ、と、そう思うことに罪悪感を覚えるかもしれない。パパを裏切っているように感じるかもしれない。でもね、自分が安心していられることをすべき。あなたは悪い人間じゃないし、常に率先してゲイジョークを止めないからといって、それはパパを応援していないという意味じゃない。いずれ、あなたの準備が整った時に、そうしたジョークを言う人たちに立ち向かえるようになるから。

その後、新たな不安要素が加わりました。投稿者の生活にも関わるようになった、父親の新しい彼氏です。
確かに彼は文句なしに良い人のようだし、面白い人って言ってもいいかもしれない。でも、学校行事に顔を出してきたらどうする? 彼はママ代わりになろうとし出すのかな?
でも徐々に、あなたは彼とのユニークな関係を築いていき、ママやパパと同じように自分の人生になくてはならない人だと思うようになり、彼なしの人生なんて考えられなくなる。だから、彼と仲良くしてもいいし、心を開いてもいい。彼はママやパパの代わりじゃない。最高の親がもう一人増えただけ!

大学進学などで人間関係も新しくなると、父親のことをためらわず人に話せるようになっていきました。相手は「すごい!もっと聞かせて」と身を乗り出して話を聞いてくれ、投稿者も自分の家族のユニークさを誇らしく思えるようになりました。
さらに、自分の家族について語ることは個人的な話に留まらないと気づきます。同性愛者の親がいる家族も他の家族と同じであり、同じように扱われるべきだと周囲に示すことになる、そんな社会的意義も感じるようになっていったのです。

私が言っていることを全て飲み込むのはおそらく難しいよね。まだ知ったばかりだから、ゆっくり時間をかけて理解していって。あなたが今感じていることは全て問題ないと覚えていて。あなたを気にかけてくれる大人はたくさんいるから、必要な時に救いの手を求めることを恐れないで。でも、今のところはこれを知ってるだけでいい――あなたには素晴らしくて愛のある家族がいるし、全てはうまくいくようになるよ。

愛をこめて
28歳のあなたより
How Do You Tell People? | The Rainbow Letters


《ブログ内関連ページ》
親からカミングアウトされた子供が抱く感情と、彼らへのアドバイス
[体験談]女性カップルの娘、無遠慮な質問にユーモアで立ち向かう