2017年10月21日土曜日

親からカミングアウトされた子供が抱く感情と、彼らへのアドバイス

カラフルな家の水彩画
異性と結婚し親になった人が、後に同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーだとカミングアウトすることがあります。アメリカにはこうした親を持つ子供(成人した子を含む)をサポートするプロジェクトや団体があります。

代表的な団体「COLAGE」は、レズビアンやゲイの親を持つ子どもたちによって1990年に設立されました。
そのCOLAGEが2013年頃に制作した21ページのガイド(小冊子?)があります。内容は、親が性的マイノリティだと知った子供へのアドバイスです。主に10代を想定していると思われます。
PDF形式で公開されていますが、現在、COLAGEのウェブサイトにはこのページへのリンクが見当たりません。その理由は分かりませんが、興味深い内容だったので、最初の方のごく一部を紹介します。
COLAGE’s Guide for when your Parent(s) Come out as Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, and/or Queer (PDF)
まず、3ページ目で子供たちが抱くさまざまな感情をまとめています。

怒り
・親が「正常ではない」「ほかの親とは違う」ことへの怒り。
・そのことを知った経緯や聞かされた経緯に対する怒り。
・LGBTQではないほうの親の反応に対する怒り。
「知った経緯に対する怒り」というのは、親の不注意でうっかり知ってしまった、などのケースのようです。
アドバイスとしては、親も完璧な人間ではないのでこういうことも起こるけれど、あなたの怒りもまた自然な感情だから否定する必要はない、と書かれています。
もし時々、枕を殴りたくなったり、友達に愚痴りたくなったら、そうしよう!心の中に怒りを溜め込むのを避けるには、怒りを表現するのが一番です。

混乱
・親は異性愛者として幸せそうだったのに。あるいは性自認に満足しているように見えていたのに。
・「同性愛者」や「トランスジェンダー」であるというのがどういうことか分からない。
・同性愛やトランスジェンダーということを、自分自身の道徳観や信仰にどう適合させればいいか分からない。
親がLGBTQに属する人だと知ると、それまで持っていたLGBTQの知識やイメージがくつがえり、思いもよらない疑問が湧くことがあるようです。たいていは親に質問すればいいのですが、直接聞きづらいことは他の大人や、同じようにLGBTQの親を持つ人に聞こう、とアドバイスしています。
なかには答えがない質問もあるかもしれない。親の選択を完全には理解できないかもしれないし、理解できないことをいらだたしく思うかもしれない。それでもやっぱり、あなたの親はあなたの親であることに変わりないのです。

恐怖
・親がHIVに感染するのではないか。
・自分や家族が暴力や差別を経験するのではないか。
・親のカミングアウトが自分の人生にどう影響するのか。
LGBTQに関する否定的な情報は世間にあふれているため、こうした不安を感じることもあるといいます。不安を解消するために大切なのは、学ぶことです。
恐れというのは、たいてい自分たちが理解できないことから来るもの。だから、分からないことがあれば学ぼう。恐怖に対処するには立ち向かうのが一番。十中八九、恐れることは何もないと分かるはず。

安堵
・親が新しい人生や新しい人間関係、新しい体を得て、今まで以上に幸せになった。
・親の離婚や破局の理由がよりよく理解できた。
・親が本当の自分を隠そうとするのをやめたことで、もっといい親になるかもしれない。
親が性自認や性的指向を隠していると、そのことが知らず知らず家庭に影を落としていることもあるようです。
私たちの多くが、親がカミングアウトして初めて、自分たちが家族だと感じられるようになります。ようやく真実を知り理解することで多くの重圧から解放されるのです。

疑問
・自分自身のセクシュアリティに影響するのだろうか。
・自分は他の人からどう思われたり言われたりするだろうか。
・自分が属しているグループでの人間関係にどう影響するだろうか。
この項目には解説がありませんでした。

誇り
・親は本当の自分自身のために立ちあがった。
・自分や自分の家族はユニークな存在だ。
・自分も多様なコミュニティの一員だ。
ほかの家族とは違うことの良さを感じる人もいるようです。
私たちは光栄にも、他の「主流の」家族が知らない、理解できない喜びをたくさん経験できます。違いを受け入れない文化のなかでは、人と違うことは強さと勇気を必要とします。その強さが、あなたをより思いやりのある賢い人にしてくれるでしょう。

自分で自分をサポートする(p.4)
力になってくれる人は必ずどこかにいるけれど、自分自身を支えることも必要だとして、セルフケアの具体的な方法も書かれています。
・日記をつける、瞑想する、文章を書く、アート作品を作る。
・一週間に2~3回、20~30分の運動をしよう。ストレス物質が体内に溜まるとイライラの原因となるけれど、運動で分解されます。
・自分は今、お腹がすいているのか、それとも怒っているのか、さみしいのか、眠いのか、自問してみよう。そしてちょっと立ち止まって、その欲求を解消してみよう。
・楽しもう。自分がハッピーになれることや、普段リラックスするためにやっていること、笑顔になれることをやろう。
・COLAGEのことも忘れないで!COLAGEにはあなたの孤独感を和らげたり、あなたと同じような状況の経験者とつながるためのアイデアや方法がたくさんあります。

それでも気分はよくない?(p.5)
親がLGBTQであることを本当にOKだと感じられるようになるまでには長い時間がかかるかもしれません。あなたが大きくなるにつれ次第に重要ではなくなっていくかもしれないし、思ってもみなかった新しい意味を持つようになるかもしれません!
私たちが最初に言ったことを思い出して…あなたが親のことでどんなふうに感じていようが(いまいが)、あなたは独りじゃない、それを決して忘れないで。今あなたがいるところを通っていった人は数え切れないほどいるんです。
COLAGE’s Guide for when your Parent(s) Come out as Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, and/or Queer (PDF)

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