2017年9月15日金曜日

[体験談]前日に息子からゲイだとカミングアウトされた父親の1日目

文字画像「体験談」
父親向けサイトFatherlyに、息子からカミングアウトされたばかりという父親のエッセイが掲載(転載)されていたので紹介します。
もともとは実名制の質問サイトQuoraで、「息子がゲイだと知るのはどんな気持ち?」という質問への回答として書かれたものです。書いたのはオーストラリアのデヴィッドさん、5人の子供の父親です。

This Is How I Felt When My Son Told Me He Was Gay | Fatherly(2016)
What does it feel like to find out that your son is gay? | Quora(2016)

デヴィッドさんはこの回答をした前夜、19歳の息子さんからゲイだと言われたばかり。それも、共通の趣味であるオンラインゲームで対戦していた時にゲーム内のチャットで告げられました。息子さんは両親に話す機会を見計らっていたのですが、大学生でもう家を出ているし、親は下の3人の子供の世話で忙しかったため、なかなか言えずにいたそうです。
デヴィッドさんには、やはりショックでした。
関節が外れたような感覚だった。まるで自分の体が2フィート[60cm]右側にあるような。自分がかすかに風にさらされているような感じだった。

その時は「愛してる」「おまえを誇りに思う」などと声をかけましたが、その後、罪悪感が湧いてきました。息子がゲイになったのは、自分が何か「父親として、夫として、人間としての失敗」をしたせいではないか、と感じたのです。
その後、ネットで見つけたPsychology Todayの記事には、自責の念はカミングアウトされた親の典型的な反応だと書かれていました。

翌日、たまたま会った友人に相談できたことも、ずいぶん不安解消の役に立ったようです。
私はまともに考えられずに苦労していた。というのも、あまりに自分に近すぎるからだ。これがもし先週、他人の子供の同じ状況について尋ねられていたなら、間違いなく応援できただろう。でも今日の私には、こういう簡単なことを言ってくれる男が1人か2人、本当に必要だった。

「君の息子はこれまでと変わらない。」
「ゲイのセックスの仕組みを考えることに囚われるな。ご近所さんのセックスのことなんて考えたりするか? ご近所さんがお互いに何をするのが好きか詳しく想像するなんて、いいことじゃないだろ? それと同じだよ。」
「いつか息子のパートナーと会うことになる。息子に幸せでいてほしいか? そのパートナーが息子を幸せにしてくれる人なんだよ。」

またデヴィッドさんは、これまでのオンラインコミュニティでの交流のおかげでLGBTの人々に対する考えが深まり、それが今、役に立っているとも語っています。
大学で心理学を学んでいる息子さんは心得たもので、時間をかけてゆっくり考えてと言ってくれています。デヴィッドさんも投稿の時点では12時間前に比べればずっと落ち着いています。しかし「ブッダのように穏やかな」息子に比べ、自分自身はこの状況を消化するのに苦労している。そんな自分が幼く感じられて落ち込んでもいます。
これは現実で、私のほうが進歩して適応しなければならない状況だと分かった今、あがいてもただ長引いて、もっと苦しむだけだというのも分かっている。今はただリラックスして時間が過ぎるに任せようとしている。何もたいして変わってはいないのだ。息子には相変わらずスクラブル[ゲームの名前]で負かされるし、家の上にスパンコールの飛行船が浮かんでるわけでもない。拍子抜けするほどいつもと同じだ。

今は、自分が体から1インチ[2.5cm]ほど抜け出てるような感覚だ。
This Is How I Felt When My Son Told Me He Was Gay(2016)

補足:子供(や他人)のセクシュアリティを不用意に人に話すことは推奨されていません。外部に知られることで子供が心理的/社会的ダメージを受けたり、親子の信頼関係を損ねる可能性があるためです。誰かに相談したいときは、相談相手について親子で話し合うか、子供の人生に影響の出ない第三者(カウンセラーなど)がいいそうです。

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