2017年にアメリカの「Mott Poll」という調査がこの母親非難について調べました。
Mott Pollというのは、米ミシガン大学付属C.S.モット小児病院が実施している「子供の健康に関する全米世論調査」だそうです。
調査対象は0歳から5歳の子供を育てたことのある18歳以上の母親で、報告書は475人の回答に基づいています。
下記の「推論」部分も、報告書に書かれたものを一部要約したものです。
Mom shaming or constructive criticism? Perspectives of mothers | National Poll on Children's Health
(母親非難か建設的な批判か? 母親たちの視点)
報告
母親の半数以上(61%)は子育てにおける選択を批判されたことがあると答えた。誰から批判されたか
- 配偶者/子供のもう一方の親(36%)
- 義理の親(31%)
- 自分の親(37%)
- 自分の友人(14%)
- 公共の場で遭遇したほかの母親(12%)
- ソーシャルメディアでのコメント(7%)
- 子供の医療提供者(8%)
- 保育提供者(6%)
また、こういうデータも得られた。
- 3つ以上のグループから批判を受けたことがある(23%)
- 他人からのアドバイスは役に立たないことが多い(62%)
- 世の中の母親たちは批判されすぎ、信用されなさすぎだと思う(56%)
推論:家族からの批判が多い
家族に批判されたと答えた人が多いのは、家族同士はそれだけ関わりが大きいからかもしれない。あるいは、母親が家族からの意見を「もっと協力的であるべき人からの攻撃」と受け止めている可能性もある。対照的に、専門家からの批判が少ないのは、専門家の意見は批判ではなく助言として受け入れるからかもしれない。
批判されたと答えた母親のうち、批判の内容は
- 子供のしつけ(70%)
- 食生活や栄養(52%)
- 睡眠(46%)
- 母乳 vs ミルク(39%)
- 安全性(20%)
- 保育所関連?[childcare](16%)
推論:しつけに対する批判が多い
しつけに関しては相反する意見が飛び交っているため批判が生じやすい。批判者が幼い子供に対して非現実的な期待を抱いている場合、同時に、母親が我が子のことはよく分かってると感じている場合、そのギャップで衝突は大きくなるかもしれない。
里帰りなどで家族が集まる場合、旅行や特別なイベントで子供の生活習慣が乱れ、子供の振る舞いも変わる。そうした状況下で家族からしつけ関連の批判をされると母親のいらだちは強くなるかもしれない。
推論:母乳や睡眠に関する批判が多い
母乳と睡眠に関しては、近年、アメリカ国内のガイドラインが変化したため世代間で常識が異なる可能性がある。批判に対する対応や反応
- 自分で情報を探す(60%)
- 医療提供者に聞く(53%)
- 子育てのやり方を変える(37%)
- 批判されたことで親としての選択に確信が持てるようになった(67%)
- 批判されたことで親としての選択に確信が持てない時がある(42%)
- 批判してくる特定の人を避ける(50%)
- 批判された後、他の母親を批判するのをやめた(56%)
推論:自分で情報を探したり専門家に相談する親が多い
新しく情報を得ることで、母親の行動が専門家が勧めるものに変わる場合もあるが、逆に母親の判断を補強し、批判への反論材料となる場合もある。家族は母親が最新の情報を知っている可能性を受け入れ、「私の若いころは…」が現在では最善のアドバイスではない可能性を認める必要がある。
推論:批判してくる特定の人を避ける
子供を誰に預けるか、休暇をどこで過ごすかといった決断をする際、家族や友人が批判的な人かどうかは母親の決断を左右するかもしれない。子供と長く一緒に過ごしたい人は前向きな口調でアドバイスするといい。推論:親としての選択に確信が持てない
母親が受け取る子育て関連の情報は膨大で、整理しようにも手に負えないほどである。母親の不安が強くなったり長引いたりするのは母と子の両方にとって問題となる。不安に苦しむ母親にとっては一見無害な意見も有害なものになりうる。
これは子供の医療提供者が介入できる分野で、母親に質問するよう促し、実践的なアドバイスと安心を提供できる。
《関連》
Mott Pollは2019年に父親に対しても同様の調査をしています。
・【調査】父親の育児への批判と、批判が父親に与える影響(当ブログ)
・Parenting put-downs: How criticism impacts fathers | National Poll on Children's Health (2019)