性的少数者の子を持つ親向けサイト「My Kid Is Gay」に寄せられた相談を紹介します。
Is It So Wrong I Hope She Ends Up with a Man? | My Kid Is Gay (2017)
質問
うちの娘は数年前にバイセクシュアルだとカミングアウトしました。デート相手は男女半々のようです。でも、男の子とデートしているときは、彼こそが娘の“運命の人”じゃないかと期待する自分がいます。ある意味、娘がゲイかストレートだったらよかったのにと思います。それなら少なくとも予定は立ちますから。娘に男性と落ち着いてほしいと願うのは間違ってますか?
回答
答えているのは同サイトの共同設立者で、『LGBTの子どもに寄り添うための本』の共同著者でもあるクリスティン・ルッソです。
クリスティンは質問者の「予定が立つ」という言葉に注目し、子供のパートナーが男性か女性かでどう「予定」が変わるのだろうか、と問いかけます。
お嬢さんの相手は小学4年生を教えている男性で、優しくて思いやりがあるけど皿洗いをいつも忘れてしまう人かもしれない。または、頭がよくて率直な消防士の女性で、毎週日曜日にはヒマワリの花束を買ってくれるかもしれない。あるいは、働きすぎで短気な女性かもしれないし、毎晩お皿を洗ってくれる酒びたりの男性かもしれない。お嬢さんは子供を持つかもしれないし、犬を飼うかもしれない。子供と犬とチンチラかも。もしかしたら、あの頭がよくて率直な消防士の女性とは心が離れてしまい、別れたあと何年もヒマワリを見るたび心が痛むかもしれない。
こうしたシナリオは何時間でも続けられます。私がほんのいくつかの例を挙げたのは、非常にシンプルな事実を強調するためです。それは、親として(人として!)人生の予定を立てるなどできないということです。人生は想像通りにはいかないものですし、多くの場合、思いもかけないようなことが起こるものです。
親が子供に望むのは、突き詰めれば、子供が幸せで満ち足りた人生を送ってくれることのはずだ、とクリスティンは考えています。そのためには、交際相手が同性か異性かということよりも、お子さんが本当の姿のままで愛され、本人にとっての真実を生きていけることが必要不可欠だと言います。
確かにバイセクシュアル女性は――もちろん性的少数者全体も――シスジェンダー[*]や異性愛の人よりも厳しい形で、この世界のある種の真実と向き合わなければなりません(この方程式には能力や人種、宗教、階級といった無数の要因も関わってきますが)。しかし、お嬢さんが女性と一緒になる可能性が、男性とパートナーになる可能性よりも幸せの見込みが少ないなどということはありません!* シスジェンダー:トランスジェンダーの対義語。出生時に診断された性別と性自認が一致していること。
質問者の願いの背景にあるのは、同性カップルの幸せな姿を上手く思い描けないことだとクリスティンは推測します。たいていの人は同性カップルと触れ合う機会が少ないため、男女カップルのようにはイメージできなくても無理はありません。そこで、身近な人はもちろんフィクションでもいいので、多くの同性カップルを知れば、新たな幸せの可能性が思い描けるようになるはずだ、と語っています。また、友人や家族会など、自分の複雑な気持ちを吐き出せる場を持つことも勧めています。
最後にあなたにありがとうと言って終えたいと思います。あなたはお嬢さんのそばで彼女の人生の一部であり続けることを望み、この『My Kid Is Gay』を探し出して、大変重要な質問をしてくれました。それ自体がとてつもない愛の贈り物です。これからも問い続け、自分自身に挑み続け、一歩前に踏み出し続けてください。行く先に何が待ち構えているのか私たちは知り得ません(子供の性のあり方に関わらず!)。しかし、愛を導きの力とし続ければ、人生に待ち受けるいくつもの曲がり道を進んでいけるのです。
《ブログ内関連ページ》
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