2017年2月17日金曜日

オーストラリア発、男のネイルで子供を救うPolished manキャンペーン

Instagramのサムネイル画像
from Instagram
男性のマニキュアは今のところ珍しく、良くも悪くも人目を引きますが、まさにその点が社会運動やチャリティと相性がいいのかもしれません。
※以前、別のサイトで作成・公開したものを手直ししてこちらに移動しました。

2016年9月、俳優のクリス・ヘムズワースがインスタグラムにネイル画像を投稿し話題になった。
Instagram(10月にも。Instagram
これはオーストラリア発の「Polished Man」というキャンペーン。オーストラリアで貧困問題に取り組む団体「YGAP」が2014年に始めたもので、男性に対して「10月の間、爪のひとつにマニキュアを塗ろう」と呼びかけている。

何のために?

世界では、18歳になるまでに肉体的・性的な暴力の被害にあう子供が、5人に1人いる(*)。そこで、爪のひとつにマニキュアを塗ることで会話のきっかけを作り、この問題に対する意識を広げていこう、という運動。寄付も募っていて、世界各地で子供たちの心的外傷の回復や予防に使われている。
*World Health Organisation 2014, Child Maltreatment Fact sheet N°150.

なぜマニキュアなの?

このキャンペーンを始めたのは「YGAP」のCEO、エリオット・コステロ(Elliot Costello)。彼はカンボジアでシア(Thea)という少女と出会った。
シアが8歳の時、一家の大黒柱だった父が亡くなり、母子は貧困に陥った。母親は娘には安全な生活を送らせたいと施設に預けたが、シアは施設職員の西洋人男性から肉体的・性的暴力を2年にわたって毎日受け続けた。
当時、施設から保護されて間もないシアにとって、エリオットはあの職員以来初めて会う西洋人だったが、2人は楽しいひと時を過ごした。別れ際、シアはエリオットの手のひらにハートを描き、爪には青いマニキュアを塗った。
翌日になってエリオットはシアの境遇を知り、彼女のことを忘れないよう爪のひとつにマニキュアを塗った。そして帰国後、暴力の犠牲となる子供たちの実情を知り、Polished Manキャンペーンを開始した。

なぜ男性が対象なの?

90% of all sexual violence against children is perpetrated by men.
But that doesn’t mean we are pointing the finger.
We’re asking men to lead the way, to start conversations and challenge the culture from where they stand.
About |Polished Man
(要約)子供に対する性暴力の90%は男性による加害である(*)。ただし、私たちは男性を非難しようとしてるわけではなく、男性たちが口火を切り、性暴力文化に足元から異議を唱え、この問題でリーダーシップを発揮してくれるよう求めている。
* Cynthia Crosson-Tower, Understanding Child Abuse and Neglect, 4th ed.

女性は参加できないの?

Polished Manでは女性の力も必要だ、と以下の提案をしている。
1. 周囲の男性にPolished Manになるよう勧める。
2. SNSでPolished Manを支持する投稿をする。
3. 男性に化粧品を貸して使い方を教える。
4. もちろん自分の爪にマニキュアを塗ってもいい。寄付や啓発活動での参加も。

以上《出典》About |Polished Man

クリス・ヘムズワースのほかにも兄弟のルークやリアム・ヘムズワース、ザック・エフロンやジェームズ・マースデン、オーストラリアの著名人も多数参加している。
また、インスタグラムなどでは#polishedmanのタグとともに一般人のネイル画像も多く投稿されている。

The story behind Polished Man - Why nail polish to end violence against children |YouTube

《関連サイト》
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《関連記事》

年末にオランダで話題になったチャリティ

脳腫瘍で1年生きられないと言われた6歳のTijnは、最後の願いとして他の子供たちの役に立ちたいと考え、あるラジオ局の年末恒例チャリティイベントに参加した。
アフリカで肺炎で亡くなる子供を減らすための募金活動として、彼は「マニキュアを塗らせてくれたら1ユーロ、それが嫌なら10ユーロ募金して」と呼びかけた。
これが瞬く間に話題となり国内外から募金が集まったほか、マニキュアを塗って支持を表明する動きも起こり、マルク・ルッテ首相も参加した。
募金の目標額は100ユーロ(約1万2000円)だったが、2日間で100万ユーロ(約1億2000万円)を超えた(*)
* 先日、募金ページを確認したところ、約263万ユーロ(約3億2300万円)集まっていた。
オランダ、脳腫瘍の6歳少年の活動、募金1億5600万円以上集まる|add7
People Are Moved By A Terminally Ill Boy Who Is Painting Nails For Charity And Has Raised Over €2 Million |BuzzFeed
This 6-year-old terminally ill boy captivates an entire country by raising over € 1 mln in 2 days for a Christmas charity event |Business Insider Nederland

《ブログ内関連リンク》
マニキュアを塗る父親たち
(ここでもヘムズワース兄弟が登場)