2016年9月22日木曜日

[Q&A]子供をアウティングせずに知人の同性愛嫌悪発言に反論したい

文字画像「Q&A」
日常会話の中で性的少数者に対する否定的な発言を聞いた場合、どうすればいいでしょうか? 自分の家族に性的少数者がいた場合、他人事としてやり過ごせなかったり、見過ごしたくないと思うこともあるかもしれません。

性的少数者の子供を持つ親向け情報サイト「My Kid Is Gay」(元・The Parents Project)から紹介します。
Reacting to Negative Comments |My Kid Is Gay (2014)

質問

交流のある親御さんが同性愛嫌悪的な冗談や発言をしたとき、どういった受け答えをするのが一番いいのでしょう? 息子の性的指向をばらして彼のプライバシーを損ないたくはないけれど、自分が正しいと思うことのために立ち上がるべきだとも感じます。

回答

回答者は、音楽療法士で同性愛者の娘がいるリサさんです。
リサさんは、自分なら相手との関係で対応を変えるだろう、と具体的な例を挙げていきます。

娘を知らない同僚の場合

リサさんは小さな私立校で音楽教師もしています。ある日、同僚の教師と、自分たちの子供の進学について話していました。
会話のなかでその教師は、「あの大学には同性愛の学生がたくさんいるから息子を行かせたくない」と言いました。さらに、「同性愛者はみな同じ学校に行くべきだ。そうすれば異性愛の子たちが混乱せずにすむ」と続けました。
同性愛の子の親として、彼女の無知に面食らいました。最初、どう反応すればいいか分かりませんでした。私は黙っていました。彼女は私の娘を知らないとはいえ、我が子の性的指向をばらすようなことは言いたくありませんでした。でも、私は彼女の意見に屈辱を受けながら何も言わないなんてことはできなかったし、無抵抗でいたくもありませんでした。少なくとも私が同性愛の人々を支持していることは知らせずにはいられませんでした。

同性愛者を擁護すれば、その理由を詮索され、そこから自分の娘に注意が向いてしまうかもしれない。そう考えたリサさんはこんなふうに言いました。
「私は同性愛の子供たちをたくさん知ってるし、分離する理由なんてない。私たちはみんなお互いの違いから学べる。どうやらあなたは気に入らないみたいだけど、息子さんにとって快適な環境だということのほうが重要だよ。」
ここでリサさんが伝えようとしたポイントはこうです。
  1. 相手が失礼な発言を続けないことを願って、相手の考えに同意しないことを明確にする。
  2. 「私は同性愛の子供たちをたくさん知ってる」と言うことで自分の意見の根拠を示し、相手の意識が自分の子に向かないようにする。

議論好きな友人の場合

あるとき、リサさんは自分とは信仰も政治的信念もまるで違う人たちと一緒でした。そこにいた友人のトミーは議論好きで、紛糾しやすい話題を持ち出すのを楽しむ人でした。
こういう人が同性愛の人たちに対し失礼なことを言っても、私は彼らと議論を交わしたいとは思わないでしょう。これはもう子供のことをばらすとかいう問題ではありません。議論する代わりに、「見解の相違ということにしておきましょう」などと言うのがいいと思います。それで会話は終わります。同時に、子供のことをばらすことなく、言い争いに参加することもなく、その問題に対するあなたの立場もはっきりさせることができます。

娘をよく知っている親しい友人の場合

最も感づかれやすい相手ですが、リサさんはこうした難しい状況でも沈黙したくはないと言います。そこで、ここでも同性愛者を擁護する理由を明確にするよう提案しています。
過去にこうした状況に置かれたときはいつも、高校生のときにデートしていたロバートのことを持ち出しました。ロバートはゲイで、でも私は当時それを知りませんでした。友人に話すときは、私たちが若かった頃のあの時代、ロバートはどんなにつらかっただろう、今は状況が変わってきているのがとても嬉しい、と言うようにしています。
このように身近で具体的なエピソードを話すことで、
  1. 同性愛の話題に現実味を感じてもらう。
  2. 子供から注意をそらしつつ、個人的に思い入れが強いテーマなのだと伝える。
という効果があると言います。

こうした対応策は事前に考えておいた方がいいそうです。どんな対応がいいかは人によって違うし、実際の会話の緊張した状況で後悔することを言わずに済むからです。さらには、お子さんと一緒に考えれば、お子さんにとっても良い準備となるかもしれない、とリサさんは語っています。


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Dealing With Homophobic Co-Workers |My Kid Is Gay (2016)

《関連書籍》
今回紹介したサイト「My Kid Is Gay」の創設者の著書です。
『LGBTの子どもに寄り添うための本』特設サイト