2015年4月12日日曜日

[Q&A]10代の同性同士の恋愛。親としては心配です

文字画像「Q&A」
未成年の子の恋愛に親はどう関わればいいのでしょうか。まして同性同士の恋愛は多くの親御さんにとって未知の領域。不安に思うことも多いと思います。

アメリカ、ワシントン州にあるシアトル・チルドレンズ病院のブログには、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの子を持つ親向けのアドバイスが6回シリーズで掲載されています。(トランスジェンダーについてのシリーズもあります)
そのなかから恋愛に関する記事を簡単に紹介します。執筆者は正看護師のジェン・ブラウンさん。おそらく未成年同士のデートが想定されています。
※原文ではティーンエイジャー(13〜19歳)ですが便宜的に「10代」と書いています。

Parenting Lesbian, Gay, and Bisexual Teenagers, Part 4: Dating- Promoting Healthy Relationships |Teenology 101 (2012)
親は10代の同性愛、両性愛の子と恋愛の話をするのをためらうことがあります。似たような経験がないと感じたり、同性愛や両性愛の問題になじみがない、10代の子は親の言うことになんて耳を貸さない、などと感じたりするかもしれません。けれど恋愛に関する多くのことは、あなたの知恵や経験も含め、普遍的なものです。10代のお子さんはあなたが言うべきことをちゃんと聞いています(そんな風には見えないとしても)。そして、あなたの愛情とサポートと指導を必要としています。

Q. 子供の彼氏や彼女とどう接したらいい?

ジェンさんは、異性のボーイフレンドやガールフレンドと同じように接すればいいと言います。食事に招くなどして彼らの人となりを知る。自分の子供に敬意と思いやりを持って接しているか確かめる。また、可能ならば相手の親と知り合いになるか、少なくとも連絡を取ろうと提案しています。

Q. 子供の恋人のことは気に入ってるけれど、性のあり方を見せびらかすような振る舞いは気まずいです。

10代の子は自分自身を模索する中でさまざまな自己表現を試みます。その表現の何が具体的に気に入らないのか、自分に問いかけてみてほしいとジェンさんは言います。
特に何が嫌ですか?公の場でお子さんと手をつないだりくっついたりする?ジェンダーの規範から外れるようなことをする?あからさまな[同性愛/両性愛だとわかるような]タトゥーやピアスをしている?
(中略)
いい基準となるのは、「これが異性のパートナーでも嫌だと思うか?」と自問することです。答えがノーなら見逃す必要があるかもしれませんね。できるだけお子さんのパートナーとつながりを持つようにしましょう。

Q. 恋人のご両親がお子さんの性的指向を知らない場合どうすれば?

相手の家族に「ばらす」責任はあなたには全くありません。お子さんの恋人が親に性的指向を明かしていないなら、その理由を探ってみてください。親を動揺させる心配や、家から追い出されるという確信まで、彼らの恐れにはあらゆる可能性があります。
大切なのは自分の子供のときと同じ、支えること。彼らが親にカミングアウトしたいと思っているようなら、「経験者」として相談にのってあげてほしいと語っています。

Q. 10代の子はどこでデート相手を見つけられる?

ジェンさんはまず、学校や友達の紹介などから始めることを提案。他の候補として、LGBTのグループや10代向けのリベラルな政治活動グループを挙げています。また、芸術、なかでも演劇は歴史的にLGBTの人たちにとって安全な場所だとし、デート相手が無理でも手本となる人を見つけるにはいいかもしれないと語っています。
※日本の場合、LGBTサークルがある大学もありますし、地域のLGBT支援グループが10代向けのイベントを開いたりしているようです。

Q. 同性同士なら、少なくとも性的暴行やデートDV、予期せぬ妊娠の心配はありませんよね?

残念ながら、いいえ、です。同性愛、両性愛の子にも異性愛の子と同様、デートDVの話をしてください。そのリスクはありますし、同性同士の関係は「規範」とされていないため、起こってしまった場合はより孤独を感じるかもしれません。
同性愛、両性愛の10代の場合、意外にも、予定外の妊娠のほうを心配すべきかもしれません。もしお子さんが話し合いを嫌がるなら、「念のため」とか「友達の力になれるように」と説得して、避妊について詳しく話し合ってください。

10代の同性愛、両性愛の子が孤独や隔たりを感じていたり、差別されていると感じたりした場合、健康的な自尊心を持つのが難しいことがあります。彼らは自分自身を尊重してくれる、愛情と思いやりのあるパートナーを持つのに値する人間です。そのことに気がつけるよう力になってあげてください。他に選択肢がないという理由で、あるいは十分に支えても愛してもくれない人を相手に、「妥協」する必要は全くありません。
※DVには身体的な暴力だけでなく、精神的な支配なども含まれます。同性同士の場合、関係をばらすと脅された、ということもあるようです。
「ゲイだとバラす」とおどされている|どうなってるんだろう? 子どもの法律(2014)
デートDVって何? 「通話履歴やメールをチェックする」ことも暴力 |ハフィントンポスト(2015)

※同性愛者男女の妊娠リスクに関して日本の状況はわかりませんが、カナダにこんな調査があり、自己肯定感の低さが影響していると推測されています。
10代レズビアンは同年代異性愛女性より妊娠のリスク高い=カナダBC大学調査 |ゲイジャパンニュース (2009)