2015年3月30日月曜日

[Q&A]バイセクシュアルの子供のことを親戚や友人にどう伝えたらいい?

文字画像「Q&A」
同性愛や両性愛、トランスジェンダーの子供を持つ親御さんの悩みとしてよく目にするのが、子供のことを周囲にどう伝えたらいいかというものです。親もまたカミングアウトをする(かどうか迫られる)立場になります。

LGBTQ+(*)の子を持つ親向け情報サイト「The Parents Project」の相談記事から紹介します。
* Qはクエスチョニングの頭文字。性自認や性的指向を模索している人。+(プラス)はそれらに収まりきらない性のあり方。

相談

2週間ほど前、娘が私と夫にバイセクシュアルだと言ってきました。私たちは娘を愛し支援していますが、友人や親戚にも知らせるものなのか分かりません。周囲の人に伝えるのにいいタイミングや方法ってありますか?

回答

答えているのはサイトの共同設立者で、親向けガイドブック『This is a Book for Parents of Gay Kids (*)』の著者でもあるダニエル・オーウェンズ=リードとクリスティン・ルッソです。

* 2016年7月追記。
この本は現在翻訳され、『LGBTの子どもに寄り添うための本』というタイトルで発売されています。
『LGBTの子どもに寄り添うための本』特設サイト

2人はお子さんの要望を尊重することが大切だと言います。
子供は一人一人違います。お子さんはあなたには知って欲しかったかもしれませんが、他の人に話す準備はまだできていないかもしれません。あるいは、他の人はどうでもいいけど、この人には自分から言いたいという親戚や家族ぐるみの友人がいるかもしれません。もしかしたら、他の人に知られることに抵抗がなく、あなたが話題にしてくれることを喜ぶかもしれません。
確かめる方法はただ一つ、お子さんに直接聞くことです。ゆっくり話せる時にこんな風に聞いてみたらどうかと提案しています。
「前にも言ったけど、あなたがママとパパにカミングアウトできるくらい自分を受け入れているのは本当に立派だと思ってるよ。こういうことは初めてだからはっきりさせておきたいんだけど、あなたのことはできる限り尊重してるし、だからママが家族に話してもいいのか、それともあなたが自分のタイミングで言いたいのか知りたいの」

クリスティンさんが母親にカミングアウトした後、お母さんは親戚の誰かに伝えるたび事前に相談してくれました。意見が合わないこともたくさんあったけれど、そうやって自分の気持ちを尊重してくれたことがとても嬉しかったと語っています。

お子さんが迷っているようなら急ぐ必要はありません。だだしその場合、次に話し合う日を決めてしまおうと提案しています。そうすることで問題をうやむやにせずに、お互いの気持ちを意識し続けることができるからです。お互いに納得のいく形を見いだせるよう協力し合うことが大切だと言います。

他の人に話す時は、必ずしも改まって深刻に打ち明ける必要はありません。
他のことを話すときと同じように会話の自然な流れで、ワイングラスでも傾けるとか、あなたが一番しっくりくるやり方で、たとえばこんなことを言えばいいんです。
「ダービー(かどうか知りませんが、お子さんの名前)ったら、こないだ、私はバイセクシュアルだって言ってきたの。だから、もしあの子がデート相手の話をしてきたり、あなたがデート相手のことを聞きたい時は、相手が男の子だって決めつけないであげて」

何か質問されても気軽に言える範囲で答えればいいそうです。
もちろん相手はすぐに受け入れてくれるとは限りません。相手にとっても初めての経験かもしれません。理解や受容はひとつのプロセスですから、急かさずにサポートしてあげてほしいと言います。

最後に2人はカミングアウトの目的をこう説明しています。
周りの人に話すのは、お子さんがバイセクシュアルだと世間に知らせるということではなく、お子さんが受けるに値する尊重やサポートが得られるかを確認するということなんです。
When do I tell friends & family? | My Kid Is Gay (旧 The Parents Project)


《参考リンク》
家族や友達にはどう伝えたらいいの? |NPO法人 LGBTの家族と友人をつなぐ会
やっぱり気になる、近所の目 |NPO法人 LGBTの家族と友人をつなぐ会