しかし、一時的なものかどうか見分けたり大人がコントロールできたりするものではないようで、こうした相談に対しては「どう寄りそうか」という視点のアドバイスを多く見かけます。LGBTQの子を持つ親向けの情報サイト「The Parents Project」から紹介します。
質問
幼い娘がカミングアウトしてきました。でもどうしてわかるのでしょう?性的指向に気づく生物学的な年齢というのはあるのでしょうか?回答
答えているのは、ボルティモア大学でジェンダーとセクシュアリティについて教えている性科学者のラシェイ・ハーヴェイ・ジョーンズ(LaShay Harvey Jones)さんです。若者の性的指向というのは多くの場合、形容しがたい心ひかれる感情で、混乱を引き起こすこともあります。魅力を感じるというのはそういうこと、本能的なものなのです。
私たちは、好きな女の子の髪にガムを付ける8歳の男の子の性的指向をめったに疑いません。彼はあの子が好きなんだなと、ただ「わかる」のです。若者たちも自分の感情に鋭く気づいています。それをうまく伝えられるとは限らないにしても。
ジョーンズさんによると、自分の性的指向に疑問を持ったりカミングアウトしたりすることは、性的アイデンティティの発達過程のほんの一段階であり、何歳でも経験しうるもの、年齢は目安にならないと言います。
以下はジョーンズさんによる親へのアドバイスです。
泣きたかったら泣いていい
もちろんです!お子さんがこんな大ニュースを知らせてきたら、さまざまな感情があふれてくるのはまったく自然なことです。ご自身のことをしっかりいたわってあげてください。
周りの人に我慢してもらおう
初めのうちは自分自身の感情と向き合いたいと思うのは当然です。その間、お子さんやほかの家族のメンバー、配偶者やパートナーには我慢してもらい、時間をもらいましょう。ただし、問題から目をそむけてしまうのは、お子さんに「愛されていない。大切にされていない」と感じさせてしまう恐れがあります。
まだ若すぎるなんて言わない
あなたの初恋を思い出してみてください。お子さんより若い時とは言わないまでも、おそらく同じくらい若かったと思います。大切なのは、性的指向に関わらず、誰かを好きになる経験の適切な扱い方を学ぶことです。年齢はそれほど重要ではありません。
一時的なものだ、混乱してるだけだ、などと言わない
お子さんはおそらく長い時間をかけて本当の自分について考え、検討し、自問したでしょう。その結論が間違っていると言われることは、将来の性的アイデンティティの発達に大きな損害と苦痛を与える可能性があります。
質問攻めにしない
お子さんが自分の関心についていくらか考えていたとしても、すべてを理解しているわけではありません。彼らはまだ成長し、学び、人生を経験する途中にいます。ある人は5歳で自分の関心や態度がまわりと違うことに気づいているかもしれませんが、自分自身の全体像はまだ見えていません。たんに大きな部分というだけです。性的な自己に対する理解は人生の中で変わりうるものです。たとえば、今のあなたと高校時代のあなたとでは好みのタイプは同じかもしれないし、変わっているかもしれませんよね。
「理由」を求めてお子さんの幼少期を改ざんしない
あなたも、あなたのパートナーも何も間違ったことはしていません。多くの親が、受胎した夜や子供が家にやってきた日にまでさかのぼって、何か「間違ったこと」をしたのではないかと考える段階を通ります。しかし、そんなことをしても疲れるだけですし、「修正」できることが何かあったはずだという誤った確信が得られるだけです。
多くの場合、親へのカミングアウトは気軽に行われるものではなく、「大きな解放であると同時に人生最大の恐怖」であるため、お子さんの今の気持ちと向き合ってほしいとジョーンズさんは言います。
お子さんがあなたと共有した関心がどんなものであろうと、それがお子さんにわかっていることなんです。そして、お子さんが今日わかっていることは10年後には変わっているかもしれません。でも、お子さんもあなたも10年後の答えをいま知る必要はないのです。Is There a Biological Age for Coming Out? | The Parents Project (2015)
お勧めするのは、コミュニケーションを絶やさないこと、ポジティブでいること、そして、あなた自身を大切にすることです。忘れないでください。これはひとつの旅なのです。
《ブログ内関連ページ》
・[Q&A]子供から同性愛のカミングアウト。一時的なものでは?
《関連》
『LGBTの子どもに寄り添うための本』特設サイト