2015年6月21日日曜日

トランスジェンダーの父親たちは父の日をどう祝う?

2人の子供と手をつなぐ父親のシルエット画像
子供がいるトランスジェンダー男性4名に子育てについて聞いたインタビューの一部を簡単に紹介します。父の日に合わせてLGBT情報サイトに掲載されていたものです。
なお、正確な翻訳記事ではないことをご了承ください。

Trans Dads Talk About Father's Day |The advocate (2014)

サムさん

16歳から6歳の5人の子供がいる。上の2人はみずから出産し、下の3人(うち2人は双子)は奥さんが出産した。

---今日の父の日はどう祝う?
いいレストランにブランチに行きます。それから、私は知らないことになってるんですが、下の子たちが私に内緒でカードやギフトを作ってくれています。妻も秘密の場所をつくっていて、「ここには入らないで」と念を押されています。多分ネクタイでしょうね(笑) 私も昔は父にネクタイを買っていましたから、この伝統は今も続いているようですね。

---トランス・パパの有利な点はある?
必ずしも有利な点があるとは思いません。どこにでもいる親にすぎません。親になって子供を育てられること自体、特別なことです。

(中略)
子供たちに対する私の影響は、私という人物/個人の独自性によるものであって、私のジェンダーが何かということではありません。

私は子供たちがそんなふうに育っていると確信しています。ジェンダーが自分自身の中心である必要はないということです。私たちはジェンダー以外にも、重要で価値のあるさまざまなもので形作られ、定義されているんです。

---トランス・パパならではの問題に直面したことはある?
唯一あるのは、私が「ママ」や女性だったときの記憶が家族にあるなかで性別移行したことです。下の子たちは幼すぎてあまり覚えていませんが、上の子たちはしっかり覚えています。彼らにとっては大したことではないんですが。
(中略)
彼らははすごく支えてくれていますし、昔の話はあまりしません。私たちは今を生き未来を見つめる家族であろうと心がけています。私の性別移行に限らず、あらゆることに関してね。


サイモンさん

みずから出産した8歳と3歳の子を育てるシングル・ファーザー。

---今日の父の日はどう祝う?
今年は「RAD DAD」誌の#feministfathersday(フェミニスト・ファーザーの日)の呼びかけ[*]の一環として、フェミニストの親としての誓いを新たにしようと思います。男児の父親として私にはとても重要です。息子たちにはフェミニスト・アクションはすべての人の責務だと知って大人になってほしいし、非男性の支援者となる手段を身につけてほしい、そして家父長制と女性蔑視を終わらせてほしいからです。それと、歴史的な鉄道の乗車体験にも行きます!

* 2014年5月にカリフォルニア州サンタバーバラで銃乱射事件が起きた。容疑者男性の動機が女性への憎悪だったことから、性差別をめぐる議論やさまざまなキャンペーンが行われた。そうしたもののひとつ。

---トランス・パパの有利な点はある?
性別移行にはある種の勇敢さが必要ですし、親に必要な勇敢さもよく似ています。どちらの場合も、自分のしていることがいかに間違っているか告げるためだけに世界中が待ち構えているように感じられます。トランスジェンダーでいると、そうした不愉快な批判や意見を無視する訓練の機会がたくさんあります。親もたくさんの批判を受けますから、否定的な人たちに思いを巡らせずに、自分が正しいと思うことをする訓練をすでにしてこれたのはよかったです。

---トランス・パパならではの問題に直面したことはある?
私は日ごろから男女共用のトイレを使用する必要に出くわします。子供のトイレトレーニングはそれだけでも大変ですが、幼児が必死でトイレを我慢している時に男女共用トイレを見つけなくてはいけないのは大惨事になりかねません。支援してくれる人たちは子供をトイレに連れて行ってくれたり男女共用トイレに賛同してくれると助かります。


ウィリー・ウィルキンソンさん

8歳、4歳、1歳の3人の子供がいる。3人とも奥さんが出産した。

---今日の父の日はどう祝う?
子供たちはおそらく手作りのカードをくれるでしょう。私たち家族の愉快な絵が描かれているんです。娘の絵には大きな笑顔があふれていて、息子が描く私は見事に腹筋が割れています。笑えるんですよ。
(中略)
そのあとは裏庭で遊具に登ったり滑ったり揺れたりしながらダラダラ過ごすと思います。草木にも忘れず水をやってね。

それが私にとっての完璧な父の日です。家族と一緒にのんびり過ごすだけでいいんです。ある年の父の日なんて、ほぼすべての体液にまみれていました。鼻水、涙、おしっこ、汗…。日曜の午後に裏庭でのんびり過ごすなんて完璧です。

---トランス・パパならではの問題に直面したことはある?
子供の友人の親たちの中には私がトランスジェンダーだと知らない人もいます。そうすると、言うかどうか、言うならいつか、という問題があります。言わずにいるのがひどく奇妙に思える時もあれば、単に言う必要がないと思える時もあります。親というのは、子供の友達でもないかぎり、必ずしも付き合う必要のない人たちがいる輪の中に投げ込まれるんです。

医学的に性別移行をする前は、何年もの間、目に見えて性別不詳な親でした。困難なこともありました。トイレに入ると子供の目の前で性別を間違えられたり、怖がられたり。ただ、子供といることで[当時は]女子トイレに入りやすかったというのはあります。子供といると私も優しくしてもらえるんですね。私ひとりの時なら攻撃的だったかもしれない人が、子供と一緒なのを見ると、ほほ笑んでくれさえするんです。


ジェスさん

精子提供を受けて授かった2人の息子を奥さんと育てている。

---今日の父の日はどう祝う?
父の日はいつもメイン州のポートランドに行きます。私のお気に入りの場所なんです。次男のザックは朝、私にコーヒーを持ってくる「お手伝い」をしてくれます。息子たちとランニングに出かけることもあります。

---トランス・パパならではの問題に直面したことはある?
私たち家族がいずれ直面することになるのは、長男のアッシャーの友人たちに私がトランスジェンダーだと明かすかどうかです。息子は今のところその必要を感じていませんが、時々その話題を持ち出すようにしています。いつもは「僕の友達が知る必要あるの?」といった表情で私を見るだけです。それは彼が私をただの父親として見ているということですから、いいサインなのだと思います。とはいえ、いつか問題になってくるかもしれませんし、そうしたことが困難なものになる場合もあります。


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