2014年3月27日木曜日

[体験談]私は偏見のない人間だと思っていました

文字画像「体験談」
性的少数者とその周囲の人々の体験談を集めた「I'm From Driftwood」というサイトから、娘にレズビアンだと告げられた時の戸惑いを語る母親を紹介します。

I’m From Grand Forks, ND – Video Story.|I'm From Driftwood (2011)

ロクサーヌさんは、アメリカ・ノースダコタ州のグランドフォークスという10万人都市で人生のほとんどを過ごしてきました。彼女にはトランスジェンダー男性の息子がいます。
息子のコーリーさんはインタビューの5年ほど前に男性としての性別移行を始めましたが、最初は女性として、レズビアンだというカミングアウトでした。

出会う人たちからは、子供のことを受け入れている素晴らしい親だと言われるけれど、その道のりは決して楽なものではなかったとロクサーヌさんは言います。カトリックとして育ち、中西部の小さな町で暮らしてきたロクサーヌさん夫婦にとって、子供からレズビアンだと告げられるのはとても辛い出来事でした。しかし、そんな自分にハッとします。
「私はずっと自分のことを偏見のない、とても心の広い人間だと思っていましたし、オプラ・ウィンフリーやフィル・ドナヒューのトーク番組で同性愛者を見ても、『いいんじゃない』と思っていましたから。でもそれは、自分の子でなければ私は構わない、ということだったんですね。それに気づいて我に帰ったんです」

その後、ロクサーヌさんはPFLAG(レズビアンとゲイの家族と友人の会)に関わるようになり、たくさん本を読んで勉強しました。息子さんからは自分に厳しすぎると言われるそうですが、子供への愛情と性のあり方への拒絶感との間で苦しんだようです。
「コーリーに初めて彼女ができた頃、湖にちょっとしたバケーションに行くことになって、電話でケンカしたんです。彼が...彼女が...ややこしいね、今は男性だけど、その頃は女性でしたから。恋人のドナを連れていきたいと。私は『いいよ。ただ、あなたたちのどんな愛情表現も見たくない』と言ったんです。するとコーリーは『そんなの私らしくない。そんなふうには育てられていない』と。そこで、『私はまだ心の準備が出来ていない!』と言って、『じゃあ、こうしましょう。父さんと私も愛情表現はしない。これでどう?』って提案しました」
しかし、そのルールは3時間も持ちませんでした。耐えきれなかったのは、ほかでもないロクサーヌさんでした。
「『もういい!もういい!なかったことにして!』って。私には難しすぎたし、いい教訓になりました。なぜ私たちは同性愛の人たちに公の場で愛情を表現しないよう求めるのか。私たちはこんなに簡単にできるのに。あれはいい経験になりました」